第108回全国高校野球選手権和歌山大会の決勝が27日、和歌山市の紀三井寺公園野球場で行われ、智弁和歌山が耐久を4―3で破った。智弁和歌山は3年連続29回目の優勝を決め、夏の甲子園出場を決めた。全国大会は8月5日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕する。

試合は序盤から智弁和歌山が主導権を握った。一回、先頭の長友が初球をとらえて二塁打で出塁し、犠飛と内野ゴロの間に先制。さらに楠本の右本塁打で2点を加え、初回に3点を奪った。打線は大会を通じて調子を上げており、2回戦から準決勝までの4試合では2本塁打、2三塁打、6二塁打の長打に加え、10盗塁も絡めて勝ち上がっていた。

一方の耐久も粘った。3点を追う二回、四球と相手のミスなどで2死満塁の好機を作り、巽が直球をとらえる2点適時打を放って1点差に迫った。その後、智弁和歌山は耐久の主戦・野崎の速球と低めへの変化球に要所を抑えられ、追加点を奪いきれない時間が続いた。

八回には耐久が再び試合を動かした。1死三塁から中村がスクイズを決め、3―3の同点に追いついた。春の県予選で準優勝し、夏は初優勝を目指した耐久だったが、あと一歩届かなかった。

智弁和歌山は同点に追いつかれた八回、2死一塁から山田がこの日4本目となる安打を放ち、相手の守備のミスも絡んで決勝点をもぎ取った。先発の長井は5者連続を含む計8奪三振の力投。八回からは久葉が継投し、最後を締めた。

試合後、中谷仁監督は「ああ、しんどかった」と振り返り、耐久について「素晴らしいチームで、本当にしぶとかった」と語った。決勝点についても「本当によく点が取れた」とし、和歌山代表として一日でも一戦でも長く甲子園で戦うことを約束したいと話した。

智弁和歌山では、松本虎太郎主将の復帰も注目された。六回2死一、三塁の場面で代打として登場すると、三塁側スタンドから大きな拍手が起きた。松本は1年から甲子園に出場し、昨年の選抜大会準優勝にも貢献したが、大会前に腰をけがし、手術やリハビリを続けてきた。ようやく「フルスイングができる状態に戻ってきた」といい、この日は初球を打って右飛に倒れたものの、25日の準決勝では代打で安打を記録していた。

中谷監督は、松本がいるかどうかで打線が変わり、出場することでチーム内にも大きな影響があると見ている。さらに、勝負強さが必要になる場面もあるとして、起用どころを見極めたい考えを示した。松本自身も、代打に出られる状況を作ってくれる仲間への感謝を口にし、今は打つことでチームに貢献したいと力を込めた。智弁和歌山はこの2年、夏の甲子園で初戦敗退が続いており、松本はまず初戦に集中し、強い智弁和歌山を全国に見せたいと意気込んでいる。

耐久の野崎健友投手は、154球を投げきった準決勝に続いて先発を託された。今大会中に更新した自己最速の148キロを決勝でも記録し、周囲のケアのおかげで思い切り投げることができたと感謝した。初回の3失点については悪い流れを作ってしまったと悔やんだが、直後に仲間が2点を取り返したことで立ち直った。耐久にとって決勝進出は初で、伝統校の歴史に新たな足跡を残した。野崎は、僅差のいい試合ができ、やり切った思いはあるとしながらも、勝ちたかったという悔しさをにじませた。

春の近畿大会県予選で優勝し、近畿大会で準優勝した智弁和歌山は、夏も和歌山の頂点に立った。3連覇を果たしたチームが、甲子園でこの2年の初戦敗退を乗り越えられるかが次の焦点になる。