スピードスケート女子で通算10個のオリンピックメダルを獲得し、3月に現役を引退した高木美帆さん(32)=北海道幕別町出身=に、国民栄誉賞が授与されることが28日に正式決定した。地元関係者からは喜びの声が上がり、競技成績だけでなく人柄をたたえる声も相次いでいる。

高木さんを帯広南商高時代に指導した東出俊一さん(69)は、「変わらないのは人間的な誠実さ、すべてに真摯(しんし)な姿です」と、教え子の受賞を喜んだ。華やかな実績の背景にある姿勢についても、国民栄誉賞にふさわしいものとして受け止められている。

高木さんは3人きょうだいの末っ子で、2歳上の姉・菜那さん(34)の背中を追い、5歳でスケートを始めた。2010年バンクーバー五輪には、日本のスピードスケート史上最年少の15歳で出場し、「スーパー中学生」として注目を集めた。

日本スケート界の至宝を高校で受け入れた東出さんにとって、特に印象に残っているのは高木さんのタフネスぶりだった。高校時代、度重なる海外遠征をこなしていた高木さんに「そんなに頑張って息が詰まらないの」と尋ねたこともあったという。

スポーツ界からも祝福が寄せられた。日本オリンピック委員会(JOC)の橋本聖子会長は28日、高木さんが常に高い目標へ挑み、数々の偉業を成し遂げたとして、その姿が多くの人に夢と感動を届けたと功績をたたえた。

橋本会長自身もスピードスケートで冬季五輪に4度出場し、1992年アルベールビル大会の女子1500メートルで銅メダルを獲得している。高木さんが五輪初出場を果たした2010年バンクーバー大会では日本選手団団長を務めており、高木さんの成長と活躍を見守ってきたと振り返った。

表彰式は8月4日に行われる。日本スポーツ協会の遠藤利明会長も、高木さんが歴史的な功績を打ち立てたとし、輝かしい競技実績と社会への多大な貢献が高く評価されたもので、大変意義深いと祝福した。

高木さんをめぐっては、10代のころから変わらない姿を写真で振り返る内容や、引退会見で「何者でもない時間ほしい」と語ったこと、現役最後の表彰台で「ラッキーなスケート人生」と振り返ったこと、姉の菜那さんが妹とハグし「もう、強くあり続けなくていいよね」と言葉をかけたこと、メダル通算10個の高木さんを「ネガティブ」とする証言から見えた強さなども伝えられてきた。

現役引退後も、高木さんの歩みは競技成績だけでなく、その誠実さや挑戦を続けた姿勢とともに受け止められている。国民栄誉賞の授与は、日本のスピードスケート史に残る功績を改めて示す節目となる。