訴えの利益がないと判断

静岡地裁は2026年10月27日、中部電力浜岡原発の運転差し止めを求めた訴訟で、原告の訴えを却下しました。提訴は2011年7月で、審理は約15年に及びました。平山馨裁判長は、再稼働の見通しが具体的に立っていない現状では、原発運転が住民の生命や身体を侵害するかどうか判断することは困難であり、紛争が成熟していないとして訴えの利益を認めませんでした。

中部電力は2026年9月、浜岡原発3、4号機の再稼働に向けた原子力規制委員会への審査申請を取り下げており、5号機は未申請の状態です。判決では、訴訟費用について「不正行為の影響を受けた中部電力の主張立証は必要でない訴訟行為だった」として、原告と被告で折半するよう命じました。原告側は判決を不服として控訴する方針を明らかにしています。

耐震データ不正を批判

判決では、2026年1月に発覚した中部電力の耐震データ不正についても言及されました。平山裁判長は、この不正を「原子力規制委員会の評価を騙取した行為」と批判しました。さらに、中部電力は真正なデータを用いることの重要性を理解しておらず、技術的能力に疑念を抱かせる事実であると指摘し、再稼働審査に合格する見通しはおよそ立たなくなったと結論づけました。

判決後、中部電力コンプライアンス本部の伊藤慎部長は、再び信頼される企業へと生まれ変わるための取り組みを全社を挙げて進めるとコメントしました。一方、原告弁護団は判決後に会見を開き、データ捏造と隠蔽を認定した点は評価しつつも、却下という結論については逃げの論理であると批判しました。浜岡原発を巡っては、他の訴訟も続いています。